📖 この記事を読むとわかること
- 粉薬に混ぜてはいけないものと、その理由
- クラリスロマイシン・アジスロマイシンが激苦になる組み合わせ
- 意外と知られていない「薬と薬」の相性
- シロップに変えてもらうという選択肢と、頼むタイミング
- 混ぜても飲まないときの、飲ませ方のコツ
子どもが粉薬を飲んでくれない。口に入れた瞬間、ベーッと出される。
うちの子は、ふだんは薬を水に溶かすだけで、喜んで飲みます。だから正直、困ったことがありませんでした。——とびひで抗生剤が出るまでは。
いつもどおり水に溶かして差し出したら、ものすごい顔で吐き出されました。あんなに嫌がったのは初めてです。抗生剤は、別物なんです。
そして、飲ませようとして「よかれと思って混ぜたもの」が、いちばん苦くしてしまうことがあります。薬剤師ママの私(さな)が、混ぜていいもの・ダメなものを、薬の種類別に解説します。
なぜ「混ぜると苦くなる」ことが起きるのか
子どもの粉薬の多くは、苦い成分を、薄い膜(コーティング)で包んでいます。そのまま飲めば苦くない。でも、この膜は酸に弱いんです。
酸性のものに混ぜると、膜が溶けて、中の苦い成分がむき出しになります。つまり——飲みやすくしようとして混ぜたものが、薬をいちばん苦くする。ここが、この話のいちばんやっかいなところです。
混ぜてはいけないもの5つ
| 混ぜるもの | 何が起きるか |
|---|---|
| オレンジ・りんごジュース | 酸でコーティングが壊れ、強烈な苦味が出る |
| スポーツドリンク | 同上。「飲みやすそう」で選ばれがちな最大の落とし穴 |
| 乳酸菌飲料・ヨーグルト | 同上。酸性です |
| 熱いもの(温かいミルク・スープ) | 苦味が出る。成分が変わる薬も |
| ミルク・離乳食の主食 | 薬より先に、ミルクやごはんを嫌いになります |
「ミルクに混ぜる」は、いちばんやってはいけません。
飲み残されると量がわからなくなりますし、ミルク自体を拒否するようになると、その後が本当に大変です。
とくに注意|クラリスロマイシン・アジスロマイシン
中耳炎やマイコプラズマでよく出る抗生剤です(クラリス、ジスロマックなどの名前で出ます)。この2つは、苦味を隠すコーティングで包まれています。だから、酸性のものと混ぜた瞬間に本気で苦くなります。
薬局にこんな電話がかかってきたことがあります。「薬が飲めなかったんです。飲みやすいように混ぜてしまって」。その方は、何も悪いことをしていません。少しでも飲みやすくしてあげたかっただけです。問題は、それが危ない組み合わせだと知る機会がなかったことです。
混ぜていいもの
| 混ぜるもの | 向いている場面 |
|---|---|
| バニラアイス・チョコアイス | 冷たさで味覚が鈍る。いちばん確実 |
| ココア・チョコレートシロップ | 苦い薬に強い。色と香りが苦味を隠す |
| 練乳・ピーナッツクリーム | 粘度があって薬が分離しない |
| 服薬ゼリー | 味の選び方にコツあり(下記) |
| プリン・あんこ | ものによる。まず少量で試す |
共通するコツは、混ぜたらすぐ飲ませること。5分、10分と置くとコーティングが溶けて苦くなります。「あとで飲ませよう」が失敗のもとです。
服薬ゼリーは「チョコ味」を選ぶ
いちご味やぶどう味を選びがちですが、苦い薬にはチョコ味です。チョコの苦味とコクが、薬の苦味を覆い隠してくれるため。フルーツ味は酸性寄りのものもあり、逆効果になることがあります。
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意外な落とし穴|薬と薬を混ぜないで
食べ物との相性ばかり気にされますが、「薬と薬」にも相性があります。代表的なのがこれです。
クラリスロマイシンやアジスロマイシンを、カルボシステイン(ムコダイン)と混ぜると、飲みにくくなります。
どちらも風邪でよく一緒に出る組み合わせです。カルボシステインは酸性なので、相手のコーティングを溶かしてしまうんです。
対策は3つ。3つ目は「受付で」言う
- ① 別々に飲ませる。1つ目のあと、水で口をゆすいでから2つ目へ
- ② 抗生剤を先に、単独で飲ませる
- ③ ⭐ カルボシステインを「シロップ」に変えてもらう
3つ目を知っている人は、多くありません。粉(ドライシロップ)のカルボシステインは酸性ですが、シロップ剤はpHを調整して中性寄りに作られています。だから、剤形を変えるだけで苦くならないことがあります。
そして、頼むタイミングが大事です。処方箋を出すとき——受付で伝えてください。粉薬は、いったん調剤してしまうと作り直しになります。「お待たせしました」と渡された時点では、粉はもう袋の中。受付で処方箋を出す、その30秒が唯一のタイミングです。
混ぜても飲まないときの飲ませ方
① 水で練って、頬の内側に塗る(乳児向け)
粉薬に水を数滴たらして、耳たぶくらいの固さの団子にします。清潔な指で、上あごか頬の内側に塗りつけ、すぐに水か母乳を。ポイントは、舌の上に置かないこと。苦味を感じるセンサーは舌の中央から奥にあります。同じ薬でも、置く場所で味がまるで変わります。
② スポイトは口の横から
正面から入れるとむせます。頬の内側に沿わせて、少しずつ。
③ 飲めた日は、褒める
うちの子はふだん薬を嫌がりません。でもそれは、たまたま飲みやすい薬しか出ていなかっただけでした。「飲めるのが当たり前」にすると、飲めない日に子どもを責めることになります。
薬剤師ママの結論
- ① 酸性のものに混ぜない。ジュース・スポーツドリンク・乳酸菌飲料・ヨーグルト
- ② 迷ったらアイスかココア。冷たさと苦味が最強の味方
- ③ 混ぜたらすぐ飲ませる。置くほど苦くなる
- ④ 粉薬が2種類出たら「混ぜていいですか」と聞く。別々の袋なら、別々が基本
- ⑤ シロップへの変更は、受付で頼む
よくある質問(Q&A)
Q. 混ぜたのに全部飲めませんでした。もう一度飲ませていい?
A. 飲めた量がわからないときは、追加しないでください。次の回から通常どおりで大丈夫です。何度も続くようなら、薬局に電話して剤形の相談を。
Q. アイスに混ぜるのを毎回やっても大丈夫?
A. 薬を確実に飲めるほうが大事です。「薬を飲むときだけのお楽しみ」にしてしまうのも手です。
Q. ジュースなら何がいい?
A. 酸っぱくないもの——りんご果汁より、ココアや野菜ジュース系のほうが無難です。ただし確実なのはアイスです。
Q. 抗生剤だけ飲めません。やめてもいい?
A. やめないでください。熱が下がっても、指示された日数を飲み切る必要があります。飲めないことは、やめる理由になりません。飲めないと分かった時点で、薬局に電話を。
参考文献・出典
- マクロライド系抗菌散剤とカルボシステインの配合・服薬改善の検討(J-Stage)
- 子どもへの水薬・粉薬の飲ませ方(愛知医科大学病院)
- 各製剤の添付文書・インタビューフォーム(クラリスロマイシン/アジスロマイシン/カルボシステイン ほか)
※本記事は一般的な情報です。お子さんの薬については、必ず処方元の医師・薬剤師にご確認ください。
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